User First (?)

(先日 Canon EOS M6 を買って浮かれていますが、今日はブツの話はありません。また、キャノンの CM を題材にしていますが、もちろんキャノン攻撃でもありません。)

今回は、毎週欠かさず観ている「世界遺産」での、キャノンの CM が情けなくて情けなくて、って話です。世界遺産は Sony がスポンサーだった頃からずっと観ている番組で、いやもっと言えば毎週楽しみにしている数少ない TV 番組のひとつです。そこで流されるキャノンの CM がひどい。特に 1D や 5D などのプロやハイアマチュア向け製品がひどい。

代表例(Webでは「写真と生きる篇」というタイトルがついていて、それなりに意図が伝わりますが、TVCMではタイトル表示なし)

キャノンのカメラのデザインが好きで、かつては EOS 5Dmk2 なんてフルサイズを L レンズとともに使うほどには「キャノンファン」なので、これをきっかけに話をまとめてみました。

ぼくの不満点は、ひと言で言うと「自慢CM」に終わっていること。ユーザーファースト(この言い方が?ですが)じゃないこと。

素晴らしい技術や使用している著名なカメラマンを並べたりするのは、メーカー姿勢として正しいでしょうし、ユーザーは自らの選択を確信します。しかし、新しいカスタマーへの訴求力は全く足りていません。キャノンのカメラを使うとどんな嬉しいことがあるのか、そこが全く伝わっていません。自らの技術を語って「どうだ。凄いだろう」と言うだけなのです。

かたやニコンの CM はどうでしょう?個々のモデルのスペックを語るだけではなく、むしろカメラを楽しそうに使っている人たちをメインに置いています。そう「主役はユーザー」なのです。実はニコンの CM を見てこのことに気づかされました。そして、この最たる CM が GoPro です。ほぼ GoPro を使って撮ったムービーだけで構成されています。モデル名とか、スペックとか、一切出てきません。そう、そんなことはサイトを見れば分かることなのです。それに時間を費やすよりも「楽しそうに遊ぶ人たちをこんなにリアルに撮れるよ、GoPro を使えばね」と言う1点に時間をかけて押してきます。

CM に文化というものがあるのかどうか分かりませんが、海外の CM のストレートさには感動すら覚えます。例えば○○航空とかね。日本ではやたら「細かい但し書きの多い」CMが多いですが、あの小さい文字を CM 放映時間(30秒?)で読みきれますか?というか、視聴者に読んで欲しくて表示しているのでしょうか。雑誌など、他のメディアと共用するために書いているだけ、もしくは但し書きを入れておかないと間違った捉え方をされた時に自分たちが困るからでしょうか。いずれにせよ、ユーザー視点とは思えません。

自分も仕事で、自分たちが作ったツールのユーザーマニュアルを作成したりします。関係者でレビュー後にリリースするのですが、その際には「ユーザー視点」での評価を重要視しています。特別なスキルを持ったエンジニアが多いので、技術的な仕組みや仕様詳細が正しく書けているかが焦点になりがちだからです。ユーザーにとって、詳細仕様などは「補足」でしかありません。ユーザーが間違いなくツールを使用できることが第一です。仕様書として完璧ではあっても、ユーザーに何をして欲しいか、何をすべきか、が明らかになっていなければ、意味はないのです。もし、技術的な説明がそれを妨げるなら、削除したり後述に配置を変えたりもします。

何かを発信する側は、必ず受け取り側を意識すること。発信するからには、受け取って欲しいわけで、伝え方が悪ければ受け取れないわけです。この意識は、大メーカーとか海外メーカーとかに関わらず、普段のコミュニケーションの問題でもあるでしょう。発信したことが確かに受け取られましたか?投げっぱになってませんか?発信者の独りよがりになってませんか?そんな問いを自らしてみましょう。

ちなみに、改めてキャノンの公式サイトを見てみると、最近の CM はずいぶん変わってきていることが分かりました。製品のターゲットに応じて作りを変えているっぽいですね。ただ「世界遺産」の CM は、なんとかして欲しいです(笑)

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