I, robot

ロボット3原則

第1条:ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。

第2条:ロボットは人間に与えられた命令に服従しなければならない。ただし、与えられた命令が、第1条に反する場合は、この限りではない。

第3条:ロボットは、前掲第1条および第2条に反する惧(おそ)れのないかぎり、自己を守らなければならない。

(小尾芙佐訳「われはロボット」ハヤカワ文庫SFより)

という、SFファンにはおなじみの原則で、映画やプロモのコピーにも登場します。が、何となく自分の記憶と違っているなあと思って調べました。手持ちの創元推理文庫版では「ロボット工学の三原則」として、次のように書かれていました。

一、ロボットは人間に危害を加えてはならない。また何も手を下さずに人間が危害を受けるのを黙視していてはならない。

二、ロボットは人間の命令に従わなくてはならない。ただし、第一原則に反する命令はその限りではない。

三、ロボットは自らの存在を護らなくてはならない。ただしそれは第一原則、第二原則に違反しない場合に限る。

ロボット工学教科書 第五十六版 紀元二〇五八年

てことで、ちょっとした言葉遣いの差でしかなく、違和感は単なる思い過ごしでした。趣旨や規定される範囲に違いはなさそうですね。アシモフの描く近未来ロボット社会SFでは、この三原則をもてあそぶかのように三原則を破り或いは拡大解釈をしてみせます。

知恵遊び、とでも呼べばいいのでしょうか、まだ若かった私に新しい世界を見せてくれました。それは、SFというものが規定概念に囚われない自由な発想の表現形式であることを気付かせると同時に、実際に来るかどうかは別にしてロボット社会の在り方という思考実験を通じて、人間とは何か、ロボットは人間になれるのか、などなどの視点を教えてくれたのです。

私にとってこのSFは、小説の表現形式として、そして表現内容として面白いだけでなく、大げさに言えば人生の教科書的な存在でさえあったのかもしれません。

なーんて、堅い話になりましたが、二十数年も前のこの出会いが私の人生を大きく変えたのでしょうか。ロボット関連の仕事をしているわけでも、研究をしているわけでもありません。でも、物事の「こうあるべきだ」を考える時、なるべく自由に何事にも囚われない考え方をしようと思っています。その結果が、例え屋台ラーメンの主人だったとしても、全く影響がなかったわけではないのだろうと思います。

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